錫丈岳の岩場 秋2題     

山域   北アルプス 錫丈岳前衛峰・中央稜     

その1 時期   2008年10月19日   錫丈岳前衛峰 左方カンテ     

    メンバー  深川・工藤誠志・紀代    

コースタイム  北沢出会い発5:15〜取付点8:10発〜終了点着9:10〜(下降)   推定   〜10:06北沢着〜出会い着12:10    

   感想 日帰り的に入山する岩場が減り、注目したのが錫丈岳。その様子見に、入山。深川君の情報で、何十年ぶりに、プロガイドの遠藤晴行さんに会う。彼が高校卒業してすぐ、谷川岳の一の倉で出会い、同じ山岳会で、屏風岩の初登攀を目指し入山したが、予定ルートに真新しいボルトが連打されているのを見てガッカリしたことを思い出した。    

 前日に北沢出会いにキャンプし、取り付き点まで、樹林の中の踏み跡のアプローチを確認する。翌朝早く、前衛峰に向かう。左方カンテの取り付き点に着くと、遠藤さんとガイドする2名がすでに、先行していた。順番を待って工藤トップで取り付く。大きな凹状のの中の岩を登って行く。所々、立木がある。2ピッチ目もそのまま、狭くなった凹状の岩を登るが、土や木があり、テラス状で切る。先行パーティーにコースを誘導されるように登り進む。    

つぎのピッチは、ピナクルを右上のフェースを登り、下降ポイントのあるところから、右にやさしいバンド状を進む。先行さんがテラスにまだいるので、その下の大きな岩の段差のあるところで、ブッシュとフレンズで支点を取り、肩からみで確保する。1回確保のロープにショックを受ける。しかし、その後、順調にロープを引くことができる。多少緊張させられる一方、久しぶりの登攀の喜びも沸いて来た。    

4ピッチ目は、右の凹状から左のフェースに移り、フェース登攀の醍醐味を味わえる。そこそこピンもあり、順調に高度を稼ぐ。先行さんは、ここで、差をつけられ、視野から消えているが、マイペースで登って行く。木のあるテラスで切る。この乗っこし部分には浮いた石がある。垂れたロープが浮き石を落としそう。5ピッチ目は左のフェースを直上する。6ピッチ目は、左フェースを直上し、かぶり気味の壁を右上に進む、傾斜が落ち左に巻くように凹状からカンテにある大テラスに周り込み、先行さんを待つことになった。    

ここで、トップを交代して深川君が、右手のチムニー状の岩の中へと登り始める。高さのあるチムニーに、台座的岩から体を入れて、内面登攀で慎重に登って行く。左の岩のバンドにある平たい岩が、「浮いてる」と深川君が後続に注意を促す。それでも、その上に足を乗せ、上の壁に進む。自分が登ってみると、恐ろしいことに、右手の大岩全体が浮き石?なのか、このチムニーの中から見ると、下がすすけているので分かるだ。「恐ろしや」。トップは、左のフェースに進み、カンテ上を登って、姿を消した。すると、先行さんが、左に懸垂下降して来た。しばらくして、「ビレイ解除」のコール。後続2人は、難場のここも、人工登攀で登り、カンテ登りを楽しみ、ブッシュにあるテラスで今回の登攀を終了することが出来た。    

すぐに、ここから、左の壁「注文の多い料理店」のルートを先行さんと同じく、下降を開始する。遠藤さんのアドヴァイスの通りに、懸垂下降の最終ピッチは、右に振って、広いテラスで、次のポイントにした。そのことを指示するため、すでに河原に降り、休んでいる遠藤さんが、下から懸垂する私に「右に振る」のかけ声をくれた。彼の指示どおりのテラスに降りると、彼は腰を上げ下山して行った。嬉しい心配りの人情に触れた山行として締めくくることができた。