2009大井川・赤石沢 夏合宿

期  日  2009年8月20日〜22日

メンバー  CL曲渕、薮崎、田中(記録)

行動記録 

19日  21:30富士宮出発-0:30東海フォレスト駐車場着(仮眠)
20日  8:00バス-9:00牛首峠-9:10入渓-14:00取水堰堤-15:05門の滝-17:30大ガラン-17:55天場
21日 7:20出発-8:20大ゴルジュ-10:35巻道終了-12:00大釜-13:25百間洞沢分岐-13:45二条30m滝-14:4015m滝-16:00百間洞山の家
22日 6:20出発-9:00赤石岳-11:00赤石小屋-13:05椹島

 黒部・上ノ廊下の計画が直前の増水情報で延期になったため、急遽代替案の赤石沢を提案して3人で行くことになった。仕事を終えてバタバタと装備の見直し、食料の買出しをして曲渕君(ぶち)の家に集合して装備チェックをする。
畑薙ダムに向けて出発して井川付近まで来ると工事通行規制の看板が目に入る。0時過ぎになんとか駐車場に入ることができた。車が50台くらいあり、端のほうに止めてテントを張って仮眠する。空の星は銀河が眩しいくらいに輝いている。

 20日 8時朝一番の椹島行きバスに乗り、牛首峠で降りる。快晴で赤石岳の山頂がよく見えている。笊ヶ岳に入る単独の沢屋がいたが、赤石沢は我々だけだった。支度をして発電所巡視路の階段から沢に下りる。水量はそれほど多くないが、水温は思ったよりも冷たい。大きな石がゴロゴロあり、水はエメラルドグリーン、さすが名渓と呼ばれる美しい渓相の沢だ。

    イワナ淵では早速泳いで感触を試す。続いて現れたニエ淵では見るからに釜からの登り口が難しそうだ。水泳隊長の藪崎君(ヤブちゃん)が空身で泳ぎ、なんとか滝の右岸にルートを見つけて這い上がる。上から補助ロープを投げてもらい、ぶちがバックロープを着けて這い上がる。3個のザックを全部くくりつけて、ラスト田中がザック共々引っ張ってもらい這い上がる。何度かへつりと泳ぎを繰り返す。

13:20魚影が濃く、一度竿を出したいと言うので30分ほど遊ぶが、時間帯が悪いのかヒットしない。14:00取水堰堤に到着。水路横の階段を登り、はしごで超える。堰堤からは沢の水がトンネルに飲み込まれていく様子が見られ、よくこんな山奥に発電設備を作ったものだと感心する。堰堤の上は急に水量が増えて、部分的に激しい流れとなる。

   間もなく「門の滝」に出た。圧倒的な迫力があり、しばし見とれて写真を撮る。さてルートを探すが、事前にしらべた右岸はいいところがなく、左岸はもっと悪そうだ。相談の結果やはり右岸を大きく高巻くことにする。ロープを出してぶちのリードで草つきを登り、ここで初めてハーケンを打って確保してくれた。2P登るとなんとかトラバースできそうな所に出て、下りはロープを出さずに河原に降りた。

  ぶちのワラジは早くも崩壊してきており、明日は持ちそうにない。時間は16時を廻っており、そろそろ天場を探さなくてはならない時間だ。17:10ネットの写真で見た8m滝の洞窟。残置のシュリンゲがぶら下がっており、ヤブちゃんが空身で突破し、続いて二人が穴を潜り抜ける。ここで地震が起きたら挟まれて終わりだなぁ、なんて考えてしまった。

  大ガランと呼ばれるガレ場を通過して、もうヘロヘロになったところでようやく18時前に予定の天場に到着。焚き火をおこして夕食の段取りをしながら竿を振ると、ぶちは2匹を続けてゲット。入れ食いだと喜んでいる。初めて釣りをやるヤブちゃんもいい型をヒット。俺のテンカラだけ釣れない。塩をまぶして焚き火で串焼きにして食べる。チョー旨い。

 21日 天気は曇っていて冴えないが、食事を済ませて7:20出発。ぶちはワラジを捨てて天場用に持ってきたビーチサンダルを足袋にくくりつけて、これがなかなか良く効くと嬉しそうだ。

  8:20「大ゴルジュ」に着いた。記録の通り右岸のガレた枝沢を少し登ってから巻く予定だったが、赤テープは見当たらず、また間違えたか?微妙な斜面をぶちがロープを出して登る。このあともかなり登らないとトラバースできそうな場所に出ない。しかしここまで来たら前進しかないと決め込んでルートを探しながら下るポイントを見つける。7mmロープで2回懸垂をしてようやく河原に降りたときはさすがにほっとした。大巻きに約2時間を要した。

この辺りに来ると「ラジオラリア」と呼ばれる赤石が多く綺麗だ。12時に大釜到着。晴れていればのんびり休みたくなる桃源郷のような美しい場所だ。今日もまだ先が長いので写真だけ撮って後にする。13:25百間洞沢との分岐。ここからは水量も減って源流らしくなる。

  7m滝で釜を泳ぐか巻くか迷う。寒いので水に入りたくない。ここでヤブちゃんが名案を思いつく。倒木を橋にして釜を渡り、濡れずに超えることができた。ラストは15mの滝を左岸のいやらしいトラバースを慎重に通過してもう少しだ。こんな源流でもまだ岩魚がいるというので、ヤブちゃんは釣りながら登ることにする。

  俺は先に山の家で待つことにした。沢沿いに小屋が見えたときはうれしかった。到着して受付を済ませて薪ストーブを囲んで他の登山客と一緒に一杯やりながら二人を待つ。雨が降り出してまもなく帰ってきて乾杯する。ヘロヘロに疲れた今回の山行でやっと荷を降ろせた瞬間であった。こんな中でもヤブちゃんは「俺飯作ってきます」としゃんとしていて、感心する。担ぎ上げてくれた煮込みハンバーグと途中で釣ってきてくれた岩魚の刺身が旨い。小屋はほぼ満員だったが、筋肉痛の体を休めるスペースがあるだけでありがたい。

 22日 山小屋の朝は早く、みんな4時前から行動が始まる。外は濃霧でなにも見えない。朝飯もヤブちゃんが作ってくれて、温麺を食べてカッパを着こんで出発。稜線に出ると風が強く、時々飛ばされそうになる。こんな天気が今日で良かった。昨日だったら相当めげていただろう。赤石岳山頂で記念撮影を済ませて、11時に赤石山荘で時間の確認をする。14時の最終バスまでそんなに余裕はない。ヤブちゃんはネットで見た記録の1時間45分を切れるかとすっ飛んでいってしまう。

すっかりおじさんになった残りの2人はほうほうの体で自分にムチ打って最後の力を搾り出して歩く。それでも13:05椹島に到着するとヤブちゃんが手を振って待っていてくれる。13時発のバスもまだ居て、ギリギリで飛び乗る。バスの運転手が百間洞からじゃぁ大変だったなあと労をねぎらってくれる。山の家名物の「揚げたてとんかつ」は次回の楽しみにしておこう。新しくできた赤石温泉白樺荘の温泉で汗を流して夏合宿を無事に終えた。