春合宿 白山          

平成20年4月29日から5月2日    

メンバー  寺野、  芹沢、 小林     

 百名山で登りそびれていた、荒島岳を28日にやっつけ、29日から白山に転戦する計画であったが、北面の林道は閉鎖されていて、予定の新岩間温泉までは全然車が入れない。地図を見てさらに上流の送水管が林道を横切っている事に着目、発電所の脇を登る点検歩道を偵察。最短で林道の途中へ到達出来る事を確認した。29日の晩は麓のスキー場に宿泊して、鋭気を養う。  

 30日早朝、発電所の橋を渡り、広場に勝手に駐車する、多分この広場は除雪の為に作られた場所と考えられる。 橋には融雪の為の電熱器が備わっていて、冬季積雪の多さが伺われる。 水力発電の大きな導水管の脇の点検歩道をヒタスラ登る。大変な急勾配で取り付けられた鎖にすがって腕力で登っていく。先頭の者が手を滑らしたら全員落ちてしまうだろう。そんな急階段が高度差で150m以上続く。山慣れした人間でもかなり危険である。  

 息を切らせて林道に這い上がる。そこから新岩間温泉までは、1時間程度、ノンビリ歩き到着。温泉宿は冬季閉鎖されていて、誰も居ない。裏手の露天風呂脇の湧水を水筒につめる。温泉から右手の林道を半時間程詰めると、登山道が始まる。    

 白山登山は南面に集中していて、北面からの入山者は誰も居ない。自分達だけの静かな山行である。雪解けの道は山菜が多く、全くの静寂の中を登っていく。5月連休に山を独占出来る事が嬉しい。残雪から積雪と呼ぶのが適当な位まで登ると、ルートが不明瞭で地図を見ながら、ああだ、こうだ、3人テンデのペースで歩く。快晴の元、荷物の重ささえ無ければ最高の気分。やがて、避難小屋付近に達する。    

 積雪が深く、見つけられるか、心配していたのだが、赤い屋根が露出していて、難なく発見。しかし入り口は何処か判らず。最初に三角屋根の手前側のコーナーを掘るが、入り口らしき物は出て来ない。反対側を掘ると1m位で、小さな冬季用のドアを発見。鍵は無く、簡単に開いた。中には梯子が掛かっていて、4m程で床に下りる事が出来る。ヤレヤレ今日のねぐらが出来た。床は十二分に広く、半分程度凍っていたが、半分は乾いて快適である。 早速、酒盛りとする。     

 今日は靴の具合が悪かった、ビブラムと本体の間にウレタンの部分が有るのだが、この部分が壊れ、踵が剥れてパクパク言ってる。心配だ 明日はアイゼンも着けるだろうに、固定式のアイゼンなので、ビブラム底がパクパクすると、アイゼンもグラグラに成る。 翌朝、靴底を紐でギリギリ締めて出発。2時間程登ると、今度は反対の靴がパックリと剥れる。同様に紐で固定、両方の靴が大破だ。帰ったらモンベルに文句を言ってやろう。折角の気分が台無しだ。グラグラのアイゼンは着けない方が安定する。幸い軟雪なので、慎重に登り、釜の淵に付く、ここからは、稜線で風も有り冬山である。アイゼン無しで、慎重に慎重に登る。両名も、ユックリ登ってくれる。幸い、山頂までは僅かな距離であった。     

 頂上で初めて他の登山者と会う。南の室堂側から入るパーティーが見える。足元が心配なので、直に下る事とする。ユックリ、ユックリ行動する。軟雪の斜面にまで下ってヒト安心。やれやれ、もう心配は無い。プラブーツは壊れるからと、皮の靴を買ったのに、ビブラムと本体の接合部がウレタンでは何の意味も無い。それも両足同時に壊れるなんて、運が無い。10年位使ったローバーのプラ靴は、亀裂が入ってから、1日程度かけて、少しづつ壊れてくれた。同じ様にアゾロの靴も亀裂が見つかってから、しばらく使えた。今回の靴は購入して3年、たいして使ってない。急激に両足同時に壊れるとは、全く予想外であった。冬だったら遭難騒ぎになってしまう。 途中でさらに壊れ、紐を追加して、避難小屋に付く。靴の件が無ければ最高の山だった。   

 翌日は新岩間温泉への道を、山菜取りに興じながらノンビリ下る。林道が閉鎖されている為、人が入らず、コゴミ等は取り放題である。花も多く、静かで、北側からのルートを選んで正解だった。百名山登り等、幾つ登ったとか、何時間でヤッタとか。兎角 細かい事に気を使い、山の本当の楽しみを忘れている。昔から言うではないか、良き山、良き友、良き天気、さらに沢山のお酒。山はコウでナクッチャ。 春、北面からの白山、お勧めの山行です。